障害のある子どもたちの災害に対する備え

徳島赤十字ひのみね総合療育センター 小児看護専門看護師 髙松いと子

 近年、様々な地域で地震や豪雨被害による自然災害のニュースが聞かれています。徳島県では、南海トラフ地震がこの30年間のうちに70%の確率で起こるといわれており、災害は、いつどこで起きるかわかりません。どのような状況になっても、子どもたちの命を守り、生活することができる備えを日頃から行っていく必要があります。今回は、今からできる災害への備えについてご紹介したいと思います。

 災害への備えには、自助・共助・公助という考え方があります。

『自助』は、まず自分自身や家族の身を守ることです。
 お子さんのケアに必要な物品や数日分の薬をまとめておき、すぐ持ち出せるように準備しておきましょう。人工呼吸器を使用しているお子さんは、人工呼吸器や吸引機の充電を常にしておくことや、停電時にバッテリーを使用したときにどのくらいの時間対応できるのかを知っておくことも大切です。さらに、外出の時、お子さんの外出の準備をして、外に出るまでにどのくらい時間がかかるのか、どのように荷物をまとめておくとスムーズに準備ができるのか、といったことを意識しておくことで、避難訓練の代わりになると思います。

『共助』は、地域の人々が助け合うことです。
 普段の生活では、お子さんのことをよく知っているご家族がお子さんのケアを行っていますが、災害時はご家族以外からケアを受ける状況もあります。お子さんに必要な医療的ケア、使用している物品や医療機器、お子さんとのかかわり方のポイントなどをまとめたものを作っておくと、避難先でご家族に代わってお子さんのケアを行う人にお子さんのことを伝えることができます。また、お子さんのことをまとめたものは、ショートステイやディサービスを利用する時にも役立ちます。さらに、日頃からお子さんのケアには、多くの人に関わってもらい、近所の方にもお子さんの存在を知ってもらうことも大切です。

『公助』は、市町村や消防、県や警察といった公的な機関による救助・援助のことです。
 お住いの地域ごとに、学校などの指定避難所があると思いますが、東日本大震災では、障害をもったお子さんが避難所にいった時に、段差や人の多さなどを理由に一般の避難所では過ごせなかったと言われています。市町村や消防と連絡をとって、お子さんが避難でき、数日過ごせる場所を相談しておくことや、避難する時にどのような手助けが必要かを伝えておくことも大切です。